洗練度とお買い得感がさらに増した「TFZ」の最新「T2G」!

TFZ T2G

【クイックレビュー 音質傾向・評価】

解像度:5 out of 5 stars
滑らかさ:4.5 out of 5 stars
低音の量感:4 out of 5 stars
低域の質感:4.5 out of 5 stars
総合:5 out of 5 stars
手軽な価格と独自の高音質で、コストパフォーマンスの高さが評判の「TFZ」最新モデル。デザイン面でも洗練度の高い「SERIES 4」をベースに、ケーブルをグレードアップしつつ、1万円を切る手頃な価格も魅力です。TFZの真価を象徴する意欲作として注目です。

【 詳細レビュー】

デザイン

歴代TFZ製品の中で、TFZの個性を引き継ぎつつ、洗練度を高めた「SERIES 4」と同等です。ハウジング外側は鏡面仕上げの金属、内側は透明の樹脂素材と、質感と軽量性を両立したデザイン(設計)で、頭が星形のネジもアクセントに。内側の樹脂素材部分は透明で、内部のドライバーが透けて見えるのもマニア心に響きます。
「SERIES 4」と異なるのはケーブルで、本製品に同梱のケーブルは、ハウジング側の着脱端子(2ピン)部を、ケーブル側の端子がしっかり覆う形状で、勘合の安定やホコリ除けが期待できます。また、プレーヤーに接続するプラグもケース部分が金属素材で、高級感が増しています。

音質

高域の解像度が非常に高く、繊細な音もしっかり拾い上げるのと同時に、密度の高さによって滑らかに感じられるのも美点です。一般的に解像“感”を高めようとする製品は、高域が強調されて、いわゆる「子音の刺さり」が気になりがちですが、本製品の場合は「真の高解像」が得られる印象です。
中低域はやや細身に感じましたが、これは付属のシリコンイヤーピースと当方の耳の形状(個人差)によるもののようです。手元にあったフォームタイプのイヤーチップに交換すると、ボーカルが肉厚かつウォームで、ドラムなどの低域楽器も量感が増しました。言い換えると、TFZの特徴であるダブルマグネティックサーキット(デュアル磁気回路)による、豊かな低音が体感できました。
一方、オリジナルのシリコンイヤーピースも、軽快で爽やかに楽しみたいなら悪くありません。楽曲や好みに合わせて選ぶのも良いでしょう。

装着感

見た目は金属ですが、内側が樹脂素材であることもあり、約34gと軽量です。
個人差が左右する部分ですが、当方の場合、ノズルの先端がもう少し奥に届けば、低音が増して完璧といった感じです。この部分については、イヤーピースをフォームタイプ(別売)に交換することで解決できました。
ケーブルは柔らかく取り回しも良い耳掛け式で、ポジションの安定感や、脱落の心配がないのも良いです。
イヤーピースは、出荷時に装着されているものも含め、シリコンタイプが合計7ペア付属しています。同梱のイヤーピースは長さが異なる2種タイプがそれぞれ3サイズです。

機能性・ほか

ケーブルは着脱可能です。端子はMMCXではなく、2ピンタイプなので、リケーブルの選択肢は限定的ですが、端子金属部分の接触面積が広く安定感の高さは大きな魅力です。

リケーブル用製品としては、SoundsGoodブランドの「Sarahシリーズ」や「WhiteSnakeシリーズ」が安心で、製品を選べばバランス接続にも対応できます。
音質グレードアップも楽しいですが、「Sarahシリーズ」なら、価格も3,000円弱とお手軽ですので、断線時の交換にも適するでしょう。

総評

高音質とコスパの高さで知名度を上げてきた「TFZ」ですが、当初は金属の塊のようで重く、デザインもアジアンテイストが強く、賛否の分かれる部分だったと思います。
本製品「T2G」は、TFZの持ち味を生かした高音質を引き継ぎつつ、デザインの洗練度もアップし、さらに価格も1万円弱に抑えるなど良いことずくめ。
気軽に良い音を楽しみたい入門者からマニアまで、幅広いユーザーにお勧めしたい良品です。

レビュアー

オーディオ・ビジュアル評論家。国内最高権威を誇るAVアワード「VGP」審査員を務める。AV専門メディアやテレビ・新聞などのメディアを通じて、製品の選び方や使いこなしのコツを発信中。

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